おいしい絵本・春 「いちごばたけのちいさなおばあさん」

春の果物と言えば、代表的なのが、甘くてまっかないちご。いちごは、 古くから世界中の人々に愛されている果物です。

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折紙作品:いちご・皿

そこで、春の楽しい絵本「いちごばたけのちいさなおばあさん」をご紹介しましょう。
 
いちごを育てる、不思議なおばあさんのお話
おひさまの光をあびて赤く輝くいちごは、まるで緑の畑にちらばった、 小さなルビーのよう。いったいなぜ、いちごは、こんなにもきれいな赤い色をしているのでしょう。それはね、いちご畑のずっとずっと下の土の中に、やさしいおばあさんが住んでいるからなのです。



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絵本を持つ、秋山ゆいちゃん(7歳)
「いちごばたけのちいさなおばあさん」 わたりむつこ さく・中谷千代子 え
福音館書店 刊 

両手でやっと、いちごをかかえられるくらいの、とっても小さなあばあさんは、畑のずっと下の土の中でくらしています。そして、いちごの白い花が咲き出したころ、大きなかめで、たくさんの赤い色水を作るのです。ほらほら、かめからバケツに赤い水をくんだおばあさんが、地上に出てきましたよ。
いちご畑には、うすい黄色の、たくさんの実がなっています。ハケをかた手に、働き者のあばあさんは、せっせと、いちごに色をぬっていきます。
白い髪を頭のてっぺんで、くるりと小さなおだんごにゆった、おしゃれなおばあさん。緑のつるにこしかけて、上手にハケを動かします。赤くぬられたいちごたちは、うっとりするほど、甘くおいしくなっていくのです。 


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小学1年生のゆいちゃんは、甘いいちごが大好き


いつのまにか夜になって、畑の上には、お月さまが出ています。やれやれ、やっとおばあさんの、だいじなお仕事もおわりました。上きげんのおばあさんは、白いエプロンをつまんで、一人でおどっています。
あすになれば、森の動物たちが、おいしいいちごを食べにやってくるでしょう。クマくんもキツネくんも、うさぎさんもリスさんも、おばあさんのいちごが甘く色づくのを、ずっとまっています。
それなのに、なんということでしょう。畑には、ちらほら雪がふってきました。そして、いちご畑は一面、すっぽりと雪におおわれてしまいます。おばあさんはがっかりして、エプロンで顔をおおって泣き出しました。その時、森にすむウサギがおばあさんのそばにやってきて、いっしょうけんめい雪をかき分け、イチゴを探し始めます。雪の下には、まっかないちごがなっていて、クマもキツネもリスも、次々におばあさんのところに集まってきました。おばあさんは、大切に育てたいちごが雪でだいなしにならず、森のみんなを喜ばせたので、とっても幸せです。

きっと子どもたちは、絵本を読んで、いっそういちごが好きになることでしょう。
まっかないちごをほおばると、お口いっぱいに、甘い香りが広がります。それは、いちご畑にすむおばあさんからの、すてきな春のおくりもの。
この絵本のお話を作った、わたりむつこさんも、絵を描いた中谷千代子さんも、たぶん、いちごが大好きな子どもだったに、ちがいありません。            
(文・平野誠子)
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